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ユーラシア大陸縦横断旅42

列車に乗り込んですぐ、「オルリーって何?スキポールって何?」と訊かれた
「オルリーっていうのは空港の名前さ。パリの空港はオルリーとシャルルド・ゴールの2ヶ所なんだよ。スキポールはオランダのアムステルダムにある空港のこと。さっきダメだって言われた手段はメインのシャルルド・ゴールから市街地へ行く時に使わなきゃ行けない手段なんだ」と答える
「え?オランダ?行ってみたかったんだ〜」と彼女はさっきと打って変わってかなりウキウキしている
そんな俺たちを横目に、列車はフランダースの大地を北上している
列車がメヘレンに着いた頃、幼馴染からLINEが届いた
「よっしゃ!来た!」と叫んでしまう
「来たって何が?」「航空券、取れたんだってさ」と言ったら彼女も「これで、パリに行けるんだよね?」と言って喜んでいる
だが、時刻表を見ると悲しい現実を突きつけられる「スキポール止まる電車はこちらが着いて10分後、その次は30分後、そのまた次だとフライトに間に合わない…またお預けか…」と言っていた
次の瞬間、悔し涙が頬を伝っているのが分かった
「お預けって…そうだったね…私のせいでごめん」とだけ言って黙ってしまった
「君のせいではないよ。ストのせいなんだよ」と言って彼女にも自分にも言い聞かせる
「楽しい話しようよ。って、また巨人勝ったよ」「勝ち投手は?菅野?」「勝ち投手大勢!チョーさんがサヨナラ打った」「巨人勝ったか!今2位か〜今年こそだな」いつもの俺たちに戻った
「もうスヘルデ川か…速いな」と言って驚いている間にオランダ入りをした
あと1時間ほどでアムステルダムだ
ロッテルダムに着いた頃、空港の地図が送られて来た
「アムステルダム滞在はお預けになってしまったけど、空から見えるロッテルダムの埠頭やランスの夜景を楽しんで。」というメッセージ付きだ
そして、列車は最後の停車駅、ユトレヒトに着いた
車窓を見ると、終点に近づくに連れて水路と家々が夕陽に照らされて金色に輝いている

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