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ユーラシア大陸縦横断旅44

ホテルにチェックインして、部屋で用意されていたスーツに着替え、セーヌ川のクルーズ船に乗り込む
「え?なんでこんなに大勢の人いるんだ?今日何か式典でもあるのか?」と幼馴染に訊くと「君の彼女さんの誕生日パーティーだよ。ただ、彼女さんのSNSを見た彼女さんの知人達がが昨日一斉にパリに押しかけちゃって調整が大変だったんだ。本当なら、僕は今日君たちとパリで合流したら荷物を預かって最終のユーロスターでロンドンへ先に戻る予定がお察しの通りさ」と言って苦笑いを浮かべていると前から
高校の同級生、中学の同級生、小学生時代に仲良かった仲間がこちらに来ていた
そればかりか幼稚園時代の仲間達もいた
彼女も知人達と大勢会ったらしく、「みんな来てくれたの?」と息を合わせて言ってしまった
「せっかくの誕生日でサプライズするなら、大規模にやった方が良いだろうと思ってね。彼女の知り合いしかいなくて肩身が狭いんじゃ彼氏は辛いと思ってね。シチュエーションならぴったりだ。バンクーバーの管制官みたいに、カッコよく決めちゃいな。そのために『愛の町、華の都』でやると決めて、モスクワで買い直したんでしょ?」という幼馴染からの返事が返って来た
「そうだな。こんな大規模にやって後で怒られても知らないけど」と言って笑い出す
そして,彼女の誕生日にという憧れのシチュエーションで行ったプロポーズは成功した
次の瞬間、俺がボタンを押したことでエッフェル塔の照明が代わり、日本語が浮かび上がる
「おめでとう」とだけ書いてあった
「これ、全部貴方がやってくれたの?」と彼女がはしゃぎながら訊いてくる
「全部じゃないさ。俺がやったのは指輪の買い替えとセーヌ川のクルージングの手配、そして最後のメインイベントの手配だけさ。彼達が細かいところの調整と費用の支払いをしてくれたんだ」そう言って幼馴染の肩に手を添える
彼は俺にアイコンタクトをして「Are you ready?」とマイクに向けて話し、「Un,deux,trois! 」とフランス語でカウントダウンをする
次の瞬間、色とりどりの花火が打ち上がる
「クールだけどロマンチックな所あるんだね」と彼女が笑い、「コイツはツンデレなだけさ。」と昔の俺を知る仲間達からツッコミが入り、誰もが同意して笑い出す
夜景と花火という光のアーチの下、船は進み続ける

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