派手な演出をしたセーヌのクルージングを終えてホテルの部屋に戻ると、もう夜中の1時だ
疲れているはずなのに、未だに緊張して眠れない
涙で滲んだ夜景を眺めると勝手に言葉が出てくる
「明日ロンドンに着いたら4泊してすぐ香港から福岡だもんなぁ…それも福岡着いて2時間くらい時間が取れてれば何とかなるはずだろうけど、13時半頃福岡空港着で14時の新幹線で帰らないといけないからなぁ…これでまた昔みたいに想い人に会えなくて寂しい時を故郷で、東京で過ごさなきゃいけないのか…どうしようもねえや」そこまで言うと言葉が続かなくなり、いつから聞いていたのか彼女も泣きながら「私もお別れは寂しいよ。福岡〜東京って、すぐ行けるようですぐには行けないの。でも、滞在時間が短くても彼氏が福岡まで来てくれるだけで嬉しいなぁ…」とあたかも自分に言い聞かせるように言っている
「はかた号で空席あるかなぁ…って、あるじゃんか。ったく、金は飛ぶ〜飛ぶ〜夜行の予約で〜♪嗚呼、これ〜はひどい♪新幹線のキャンセル代よりも高いぜ夜行バス!さ〜すがに〜痛すぎる〜緊急の出費は〜勘弁して〜♪」と巨人の球団歌のワンフレーズを替え歌して自嘲気味に歌うと「闘魂こめて替え歌するとそんなことできるんだ〜」と言って彼女が笑う「まぁ闘魂こめて替え歌すれば都営三田線の駅名歌えるからな」と笑うとさっきまでの重い空気は吹っ飛んだ
話し込んでいると2区の方が明るくなってきた
もうすぐ日の出だ