「頑張れ、受験生!」
この言葉を少しずつ耳にするようになった。
この言葉を聞くと冬の訪れを感じるのは、
私だけなのだろうか。
高校生の頃の自分は
大学生になったら
少し大人になれると思っていた。
キラキラしたことが多いと思っていた。
でも、そんなに単純ではない。
大学生になった今、
悩みもあるし、泣きたい日だってある。
辛いことも苦しいこともいっぱいある。
そんなことを考えていたある日。
私が乗っている電車に、
大きなリュックを背負った
1人の高校生が乗ってきた。
そして、私の1つ前の席に座ると、
必死になって参考書を見つめている。
でも彼女はとても楽しそうだった。
私が参考書と友達だったあのころ。
辛いこともあったが、
それに勝るぐらい、毎日が輝いていた。
それは、
今という一瞬一瞬を
全力で楽しみたいと思っていたから。
受験勉強を楽しみきろうと思っていたから。
(今を楽しまないともったいないよ…!)
目の前にいる高校生が
過去の自分のように思えた。
自分が今いる環境のなかで
めいいっぱい楽しんでやろう。
ふと空を見上げると、
雲ひとつない青空が
私の頭上には広がっていた。