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ユーラシア大陸縦横断旅46

「ここ、パリだけじゃない。ベルリン、ロンドン、モスクワ、ウィーン、ベオグラード、ブダペスト…こうして見ると、どこもヨーロッパの都ってのは大河に沿って建てられているんだなぁ」昼間のセーヌを見て改めてそう呟くと
「東京も大河に沿っているんじゃないの?」と彼女が訊いてくる
「東京は大河に沿っているわけじゃないよ。大河と大河の間にあった低地と台地の間の町さ。元々江戸の頃に台地を削って入江や湿地を埋め立てて、城の堀とそれに続く水路を幾重にも張り巡らせて市街地を作ったんだ。台地に多いのが武家屋敷さ。ちなみに俺の故郷は御三家の一つ、尾張の屋敷の町だよ。でも、江戸の大衆は海を埋め立てた低地に住んでいたから井戸水は海水が混じって飲めなかった。生活の上で必要な水を多摩川から引っ張って来るために掘られたのが玉川上水で、新宿の近く、四谷の大木戸で江戸市中に入っていたんだ。」と解説すると「東京の歴史、まだまだ知らないから教えてね」と上目遣いで返して来る
敢えて少し屈んで目線を合わせ「なら、君のことももっと教えてくれよ」と返すとムードをぶち壊す一言がロンドンまで行動を共にする幼馴染から放たれる
「お二人さん、時計見て」言われた通りに時計を見て気付く
ユーロスターには間に合わないことに
「どうする?後続便乗るしかないのか?」と訊くと「後続便乗るくらいなら、到着時間は遅くなるけど安いフェリールート使いな。ダンケルクから行くか、カレー経由で行くか決めて。イギリス側の港は同じだから、僕は2人が選ばなかった方で行く。それでいいっしょ」と返ってきた
「じゃあ、ダンケルク経由にすっか?」「よかよ」と案外あっさり決まった
「ダンケルクなら、30分後だから今すぐ駅に行けば良いね。さぁ、行ってこい!」「ドーバーで会おう」そんなやり取りを経てパリ北駅へ急いで向かう

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