坂辺さんと遊びに行く約束をした週の日曜日。
わたしは寿々谷駅前で坂辺さんを待っていた。
本当は、日曜は”彼ら”に会いに行く事を考えていたが、坂辺さんが日曜日が良い、と言ったので今回は我慢だ。
まぁわたしがいなくても”彼ら”はそこまで気にしないから大丈夫なんだろうけど。
そんな事より坂辺さんだ。
寿々谷に来たばかりの坂辺さんは、無事に待ち合わせ場所に辿り着けるだろうか?
…と考えていると、バスロータリーの方から声が聞こえた。
「おーい、不見崎さーん」
見ると、白い帽子を被った坂辺さんがこちらに駆け寄って来た。
「あ、坂辺さん」
わたしは思わず声を上げる。
「待った?」
「そんなでもないよ」
他愛のない会話を交わしてから、わたしはこう切り出した。
「じゃあ、行こっか」
坂辺さんはうん、とうなずいた。