朝霧に包まれたロンドン、ウェストミンスターから朝6時を告げる鐘が鳴り響く
各自着替えを事前に済ませ、手荷物を持ったまま一階に降りて朝食を取る
「イギリスの朝と言えばBangers&mash だと思ったんだけど、流石に重かったかなぁ」
「Bangers&cheeseが朝のメインかなぁ…Mash は昼とか夕方のイメージだね」「それ、先に言ってよ」「やっぱり2人とも訳わかんないこと言ってる」そんなやり取りをしていると、待っていたダブルデッカーバスが来た
「方角的に左がウェストミンスターだね」「あと、トラファルガー広場もな」「トラファルガーって、ナポレオン戦争でフランスを破った海戦の勝利記念広場?」「そうだよ。懐かしいなぁ…初めてその広場行った時、俺は前日の香港からの乗り継ぎ便の座席ポケットに帽子しまって置き忘れたから母さんの帽子借りて写真撮ったんだ。」「なるほどね。だから、あの時帽子好きの君が帽子被ってなかったんだね」「実はそうなんだよ」俺達は思い出に浸る
「忘れっぽい所があるのは意外ね。まぁ完璧志向なのにそう言う抜けてる所があるのも人間味があって好きなんだけどね」そう言って彼女が笑ってる
「あっ…もうそろそろだね」「そうだな。右にキングスクロスってある看板見えたから」
「駅名言われても私にはさっぱり分かんないや」
「俺の脳内地図がダメになった時に備えて頭の中に地図くらい入れといてくれよ。まあ、そうやって抜けてる所があるから俺の彼女は可愛いんだよなぁ」「「あなた(君)が完璧を求め過ぎるだけや(だ)ろ」」「マンナル湾は必要ないっての」「「正論とセイロン島を掛けるんじゃない!」」
辛辣なツッコミが入ると同時にチューブの駅が見えた「Euston…ここなんでしょ?」「そうさ。僕が発券するから、荷物持っといて」「任せとけ」
三者三様の台詞を放ち、新宿の南口やソウルの龍山を彷彿とさせる見た目の駅舎に入る
そして、ウェストミンスターから7時の鐘が鳴る