列車はランカスター駅3番線を出る
「そう言えば、2人とも例のマラソン大会のボランティアやったんだっけ?」そんな幼馴染の質問にまず、俺が答える
「やったよ。ゴール地点でね。俺、入る所間違えたせいで待ち合わせ時間に間に合わなくなってめちゃくちゃ恥ずかしかったなぁ」「確かに、30分も遅刻して来てたね。もしかして、交通整理かかって近道使えなかったの?」「地元なのに間違えることあるの?」そんな女性陣の質問連発にタジタジになっていると、幼馴染が間に入り、話題を変える
「もう過去のことなんだし、そんなに質問責めにしなくてもいいんじゃない?とりあえず、この先の予定確認しようか」「そうだな。帰りの関係上滞在時間が3時間になるんだが、予定としては港の向こう岸に向かうことになってる」そう言うと「ただ、問題は帰りだね。」と幼馴染が言う
「「「どういうこと(だ)?」」」俺達の質問に対して幼馴染はスマホの画面を見せて「君はリバプールのホテルに泊まってるんだろ?でも、僕達3人はロンドンの宿に泊ってるんだ」と言う
即座に俺が「そういうことか!」と反応する
「流石は鉄道ファンだ。そう、僕らが帰りに乗るロンドン行きの列車はリバプールを迂回するように走るんだよ」「じゃあ、どうするの?」今度は俺の彼女が質問する「選択肢は2通りさ。一つは、ウォリントンで乗り換えて1本。あるいは、俺達が乗るロンドン行きの次の便がマンチェスター行きで、それに終点まで乗ればウォリントンで乗り換えるのと同じ列車に乗り換えができるんだ」と俺が答える
「よく言ってくれた。それが言いたかったことなんだ」と幼馴染が感心したように言う
「感心してる場合か?ポイント渡ったってことはもう到着じゃないか?」と訊くと「あっ時間的にそうだね」と言って慌て出す
「「「しっかりして(くれ)よ!」」」と言いながら荷物を纏めて降りる
バスを乗り継いでいると、途中で青森の深浦を彷彿とさせる海岸線に出る
予報では雨のはずが、アイリッシュ海上空をダブリンに向けて虹が対岸を繋ごうとしている