定刻通り、バロー・イン・ファーネスに着く
「想像以上の長旅だったね。まぁこれまでの寝台列車の旅ほどじゃないけど」そう彼女が言うと、「俺の地元から君の地元行くならこれと同じくらいの時間がかかるんだ。これくらいの時間で音を上げてたら君と一緒にはなれないよ」そう言って笑う
そして、俺は彼女と町を一望できる場所に向かう
「懐かしさを感じるな」そう呟くと「えっ?この街、初めてなんだよね?」「ここ自体は初めてさ。でも、陸地のすぐそばまで深い海が来ている港町は行ったことがあるんだ。まさに横浜さ。って、関東の話なんかしても分からないよね」そう言って笑うと、「横浜って行ったことないんだ。教えてくれる?」と言って上目遣いをしてくる
「まさかイギリスまで来て横浜の話するとは思ってなかった」と言って苦笑いを浮かべながら頭を掻くと「お二人さん、邪魔しちゃったかな?」と幼馴染達が声をかける
「「そんなことないさ(よ)。やっぱり、2人ともお似合いだな(ね)」」そう返すと「君達もね。そうだ!そろそろ市街地に戻らないとマンチェスター行きの列車に乗るハメになるよ」と返ってくる
彼女が「グラスゴーから飛行機はどう?」と訊くので「財布が京急だから無理」と言って笑顔で返す「「関東の鉄道ファンにしか通じない言い回ししてどうすんだ(の)よ。まあ、君らしいけどね」」と幼馴染達が呆れた様に笑う
「俺らしい、か…確か、君にアプローチした時管制用語ゴリゴリに使ったことあったよね」「ダイバートは許可しないけどね」と思い出した様に笑い出す
水平線の向こうに金色の太陽が沈み、それを見届けてすぐに中心街へ戻る