地下鉄で40分、思い出の駅に着いた
「「この駅舎、この改札口、懐かしいなぁ…俺(僕)たち、ここで東北の震災の影響で延びた卒園式以来5年ぶりの再会を果たしたんだ(よ)」」「君は震災の後、すぐ向こうの国に逃げ込んだんだよね?」「そうなんだよ。向こうではそもそも地震がないから親戚が不安になってしまうし、放射線の問題が云々で大人の話に振り回されて大変だったよ。父方の親戚がいる名古屋に行って安否確認を取り、その翌日にセントレアから飛び立ったんだ。安全が確認されて羽田空港に降り立った後、モノレールから東京タワーの先が斜めになったのを見て泣いたのは覚えてる。当時は幼稚園出たばかりの子供で俺達は何もできなかったけど、大人達が日本全体で頑張ってくれたから新幹線はやぶさも、スカイツリーもできたんだ。」「そうだね。僕はスカイツリーが完成する直前にイギリスに引っ越したから完成形は帰国してから見たんだ」同じ幼稚園で親友となり、震災と親の仕事で引き割かれたものの英国で再会し、友情を取り戻した男2人でしみじみとしていると「私って場違いみたいだね」と彼女が泣きそうになる
即座にそれを否定し、「そんなことないさ!ここは俺とコイツにとって、いや俺やコイツの家族にとっても大切な思い出の場所なんだ。だから、これから俺の家族になる君にも見ておいて貰いたかったんだ。」と俺が言うと、彼も一緒になって続きを言う「「ここで一緒になった後、また離れ離れになっても再会した時は今まで以上に仲良くなれる。ここはそんな場所なんだ。」」彼女が俺に抱き付き、「2人ともいつも通りだね」と幼馴染が呆れたように言うと「俺たちの幼少期と変わらんよ。友愛の精神で男同士仲良いか好きな異性と結ばれたのかの違いだけさ」と高らかに笑い返し、そのまま駅のコインロッカーから荷物を取り出し、ヒースローエクスプレスで空港に向かう
「君は3ター、彼女さんは僕と同じ2ターだね。今度は同窓会で会おうか」「そうだな。体には気をつけろよ。俺達兄弟の思い出が詰まった街は美しいから堪能して来い!チャリ専用の道に落ちるなよ」と言うと「チャリ専用の道?まさかあんな所に落っこったことあんの?酔っ払ってたの?」と笑われた
「そこかよ!次会う時もまた笑顔で、な」と言って握手し、「今度はオレンジ門で会おう」「そうしようか」と言ってお互いの道を進む