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ユーラシア大陸縦横断旅62

部屋に戻ってゆっくりしていると、幼馴染予約してくれた航空券のデータがLINEで送られて来る
彼女にも送られた航空券のデータを見せる
「成田行きだね。私のは羽田行きなのに…私、関東はほとんど行ったことないから分からないんだけど、成田と羽田って遠いの?」と返ってきた
そこから、関東トークが始まる
「俺は九州行ったことねぇから細けえことは分かんねえけど、強いて言うんなら羽田が北九州、成田は福岡空港みたいな感じかなぁ…まあ空港と市街地の距離は福岡が異常に近いんだけどね」と答える
「東京と成田空港ってどのくらい離れてるの?」「分かりやすく言えば下関〜博多と同じくらい」そう答えると「えっ?思ったより遠い」と言って絶句している
「そりゃ利根川のすぐ近くだからね」と言って苦笑いを浮かべる
「利根川って遠いの?」と返ってきた
「江戸時代までは近かったよ。でも、東北からの東周り航路だと今の千葉県にある銚子という町の沖からは黒潮に逆らって船を漕がないといけない関係で危なくなるので、銚子から江戸まで安全に船を進められるように付け替えたからめちゃくちゃ遠くなったんだ。九州で例えると小倉から唐津くらいの距離になってるんだ」と言うと「多摩川は?貴方の地元から近いの?」という質問になり、話題が変わる
「俺の地元からは少し離れてるけど、池袋以外のターミナルからは基本電車一本で多摩川に行けるし、羽田空港はその河口の埋め立て地にあるんだ。それに、君が好きな土方歳三の故郷を流れる浅川は新田義貞の古戦場がある関戸の辺りで多摩川にぶつかるんだ。」「私にとっては夢みたいな川だなぁ」「江戸時代に多摩川から水を引くために作られた水路のおかげで武蔵野が潤い、明治の頃に浄水場ができて、その跡地が故郷のランドマークになったんだ。それに、割合こそ減ったものの多摩川は今でも都民の喉を潤す水道水に活用されているから東京で生まれ育った俺にとってみれば自分のルーツの一つを形作る大切な川さ。まさか、関門海峡や不破関、丹那や箱根の山、馬入川と並んで俺達を隔てていた物の象徴の多摩川が俺達を繫ぐ象徴になるとはなぁ…」そう言って物思いに耽っていると、彼女が不安そうに訊いてくる
「私達は離れててもずっと一緒だよね?」という質問には即答で「勿論、ずっと一緒さ。君に嫌われない限り、ね。」返す
ブリテンの都の夜はこれから更ける

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