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対怪異逃避行:鏡像の怪異 その③

「さあ無事に1階までやって来たわけだけど」
1階まで下りてきたところで、あいつが言った。
「それがどうした?」
昇降口に向けて歩きながら問い返す。
「この怪異も人が悪いよねぇ」
「人じゃ無いもんなぁ」
「そういう意味じゃあ無いんだけど……」
「知ってた」
「ははは、こいつぅ」
冗談も一段落ついたところで、真面目に聞き返す。
「で、どこが」
「よりにもよって、自分にとって一番有利な状況でだけ出てくるところかな」
「どういう意味だそれ……」
言ってから一瞬遅れて、その意味に気付いた。
そして、愚かにも、本当に馬鹿なことではあるんだが、つい反射的に、廊下にずらりと配置された窓ガラスの1枚を見てしまった。
日の暮れた屋外と電灯の点いた校舎内の明暗差によって、『鏡のようにこちらの景色を反射しているガラス面』を!

  • 対怪異逃避行
  • これがこの怪異のヤバさの所以
  • 今回と次回はちょっと短い
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