「え⁈」
わたしはいつの間にか自分の後ろに隠れていた坂辺さんの方を見る。
坂辺さんは帽子を深く被ってうつむいたままだ。
「そこなお嬢さん、ちょっと顔を見せておくれよ」
師郎はそう言ってこちらへ近付き、坂辺さんの帽子を取った。
「‼」
帽子の下から淡い緑色に光る目が現れた。
「ほーらやっぱり」
「やっぱりか」
師郎と耀平はそれぞれ呟く。
「…アンタ、何者だ」
ネロは訝し気な目を彼女に向ける。
彼女は想定外の事態に暫くおどおどしていたが、やがて途切れ途切れにこう言った。
「わたしは”ヌリカベ”…」
向こうにあるモノを認識できなくする”壁”を作り出す異能力…と消え入りそうな声で彼女は続ける。