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ユーラシア大陸縦横断旅67〜最終回〜

ロンドン最後の夜が明け、いよいよ思い出の街にも別れを告げて故郷に帰る日が来た
世界でも指折りのハブ空港の一つ、ヒースロー空港の国際線ターミナルは広大なため早め早めの移動が必要だ保安検査所へ向かう5分前、涙を堪えて「先行ってるよ。江戸小路で会おう」と告げると彼女は無言で抱きついてくる
彼女がもう一つのターミナルへ向かう頃、俺は出国を済ませて飛行機に乗り込む
時差ボケ防止でしばらく寝て機内マップを見るともうウラル山脈を超えてシベリア西部にある元カノの1人の出身地上空を飛んでいる
機内食を食べる間にも飛行機は進み、北京、大連、ソウル、チェジュと幼い頃から成田空港で見てきた国際線の行き先の街の名前が地図に表示される
対馬海峡を越えて福岡の上空に至り、そこから福岡、広島、高松、大阪、名古屋、浜松の地名が見えてきた
「海外行く時、帰る時に必ずマップに出る地名だ。もう帰って来たんだな。エスカレーター降りて泣かないと良いんだがな」そう言う間にも飛行機は硬度を下げる
左手に故郷で幼い頃からずっと観て来た高層ビル群が見えて感慨深くなると、成田空港に着陸した
お馴染みの入国審査場までの下りのエスカレーターから見える看板を見て毎度のように泣く
この看板には様々な言語で「日本へようこそ」という意味の文が書かれているが、日本に帰国した全ての人の目に入るように一際目立つ大きさの柔らかいフォントで書かれたひらがな7文字の言葉を見て泣かない人は少ないだろう
この言葉が見えた瞬間、俺が生まれてから今までお世話になった全ての人と一緒に彼女もその言葉を言ってくれるような気がした
「「おかえりなさい」」

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