「そこまでする必要はないと思うんだけど」
ネロがそう言うと、ヌリカベはますます縮こまる。
「…ネロ、ちょっと言い過ぎじゃない?」
わたしはそう言ったが、ネロは別に良いじゃんとそっぽを向いた。
「…わたしってヒドい奴なんでしょうか?」
不意にヌリカベはこぼした。
「え」
「だって束縛しようとするから…」
ヌリカベは消え入りそうな声で言う。
「こんな人間が友達を持つ資格なんて」
「そ、そんなワケないと思う!」
ヌリカベの声を遮るようにわたしは声を上げた。
「…へ?」
「あ、あー…」
ポカンとするヌリカベを見て。わたしは自分がやった事にやっと気付いた。
「と、とにかくね」
わたしは気を取り直して続けた。
「あなたはヒドい人間じゃないと思う」
目を光らせるのをやめた坂辺さんは顔を上げる。