朝5時頃目が覚めると彼女も起きて、「以前貴方が電話で話した内容が気になってたんだけど、今なら訊いても良い?」と訊いてくるので二つ返事で解説する
「まず、鳳って何のこと?」「鳳ってのは言ってしまえば鳳梨酥というお菓子のことさ。その材料のパイナップルは台湾ではフォンリーと呼ばれていて、漢字で書くと鳳に梨さ。大陸ではまた別の名称があって、漢字は忘れたけど発音はポーローだね」「なるほど。フォルモサは台湾の別名ってことは私も知ってるけど、駅って?」「フォルモサっていうのは元々美しい島という意味で漢字にすると美麗島と書ける。この美麗島っていう名前は高雄の地下鉄の駅に実在する名前で、その駅は改札口の天井のステンドグラスが有名なんだ。だから、そこの写真を送ってくれと言ったんだ。」「言い回しマニアックすぎね。安平、淡水、嘉義は歴史ある町だから良いとして、大神宮跡地のホテルって?」「日本統治時代に建てられた台湾神宮を戦後に国民党政権が解体して跡地に台北で1番豪華なホテル、圓山大飯店を建てたんだ。」「あの赤い建物、ホテルだったんだ〜」「そうだよ。台湾渡航経験者は多分ほとんど知ってると思うけどな」「私はまだ行ったことないけどね。じゃぁ、イングオってもしかしてイギリスのこと?」「そうそう。帰りの航空会社はBritish Airwaysだったからね。アイツらはズーペン、つまり日本、JALで帰国すると勘違いしてたから教えただけさ。他に知りたいことはある?」「冬瓜茶って甘いの?」「めちゃくちゃ甘くて俺には合わないよ。向こうの食堂で何度か出されて飲んでみたら口直しが必要になって濃い味付けの料理食べまくってた経験があるから、俺は好きになれないなぁ」一連の流れでそう言うと彼女は「台湾のことも知ってるなんて凄いなぁ」と呟くが俺は即座に否定する
「別に凄いことじゃないさ。思い出の場所とかこれから行ってみたい場所にはなるべく多くの知識を蓄えた状態で行きたいし、それは大好きな彼女のことをもっと深く知りたいと思う気持ちと変わらない、つまり俺に言わせれば当然の心理さ」と言うと「じゃぁ、私も海外のこと何か学んだ方が良いの?」と訊いてくるので「無理して学ばなくて良いよ。韓国とか台湾行く時は彼氏の俺に君を引っ張らせろ」 そんなやり取りで笑いが絶えない中、日が昇り新たな1日が始まる