6人乗りと4人乗りの車に分乗する
俺と彼女は高雄組の2人と花蓮組のツートップと同じ6人乗りの方に乗り込む
「横浜って意外と良い街だったね」という彼女の一言に全員反応し、「そりゃそうだろ。なんてったって、横浜は俺や幕末の剣豪の故郷、武蔵の一部だからな。廃藩置県の時に県が変わったけど、元々は同じ武蔵国だったんだ」と俺が返すと「でも、トッポは除外しろよ?」と新城のリーダーが指摘するので彼女が「トッポってどこですか?」と訊き返す
新城(花蓮)組の副長が「大船と横浜の間の三駅、分かるだろ?」と問いかけるも九州育ちの彼女が答えられるはずもなく、流石にマズイと思って「その3駅は戸塚、東戸塚、保土ヶ谷だな。まぁ、東京出身の俺達からすれば常識だが、福岡出身の彼女には難問だ」と言ってフォローする
「福岡?内川と日本一奪った泥棒の街かよ」と先輩が吐き捨て、彼女は首を傾げ、俺に「何のことか分かる?」と囁く
俺は彼が大のベイスターズファンであることを覚えており、「確かに、君の好きな球団が彼女の故郷がホームの球団との間に奪われたものが多いのは紛れもない事実だ。しかし、こちらはあの球団に日本一の機会を2度奪われ、黒4どころか黒8連続で喰らって恥ずかしい思いしたし、そちらからは使い物にならない選手が多数送られてきたり、まともに活躍してくれない選手にはそちらで活躍されるし、挙げ句の果てには流行病に選手が大量感染して試合どころではない時にそちらをはじめとした複数球団に追い越されて最終的に三位争いまで持ち堪えたと思ったらそちらの四番にソロかまされてCS出られずにシーズン終了という屈辱を味わった。だから、あの球団だけを責めるのはやめようぜ」と言って諭すと先輩は黙り込み、岡山組の1人が「俺達8人をはじめとした台湾にいる仲間達皆東京出身だけど、応援してる球団がそれぞれ違って仲間内で争ったから同じ球団が好きな人達で纏まって別々の街で暮らすことになったんだよなぁ」と回想してる
「まぁ俺は君がどこの球団のファンだろうと関係なく君を大切にするけどね。君が『女の先輩』って呼んで尊敬してたあの人も夫婦で応援してるチーム違ったし」と言って彼女の頬に口付けすると、彼女は真っ赤になりながら窓を指差し「高層ビル見えたね」と言うので外を見ると故郷の西の高層ビル群が見えた
もう、故郷は近い