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Trans Far-East Travelogue⑧

彼女はホテルの前で、俺は実家の前でそれぞれ下車してから暫くすると、彼女から電話がかかって来るまずは彼女から一言「明日、空いてる?空いてるなら貴方に明日の予定任せようと思うんだけど」 「空いてるよ。バッセンでもどう?」「バッセンって?」「結構楽しく体動かせる施設さ。そっちから1番近いのは神宮の所だね」一連のやり取りでそう言うと想定外の質問が飛んでくる
「神宮に何かあるの?」「いっぱいあるじゃん。映画『君の名は。』で登場した施設の一つは神宮にあるよ。君と付き合う前に君のことほったらかしにして野球の試合で熱くなった時あったでしょ?あの時に観てた試合会場だったのもその中の球場だし、オリパラ東京大会で有名になった国立競技場もその前のラグビーW杯で有名な秩父宮ラグビー場もある。東京のスポーツの聖地の一つとも言える場所なんだ」と返すと「じゃあ、その後球場で試合観ない?東京シリーズみたいなんだけど」「まず、球場確認しないとね。明日は文京区だってさ」「文京区?何があるの?」「文京区は小石川!小石川といえば東京ドーム!人生の基本でしょ?」「セリフパクったよね?と言うか、東京ドーム?遊園地もあるんでしょ?行きたい!」そう言って彼女が喜んでるのを聞いて「歌舞伎町、神宮、スポドリでハシゴして観覧車乗って試合見れば良いな。よし、プランは大体固まったけど、チケットどうする?」「ネットで取れそうよ。ライトスタンドやね。え?もう明日のプラン決まったの?」「決まったよ。バッセンでガッツリ体動かせるお楽しみコースさ。明日迎えに行くよ」そう告げて電話を切ると、早速錆止めスプレーを用意して自転車を見に行く
「錆止めよし、ブレーキ良し。空気圧も良いな。あの娘のホテルの場所も分かってるし、迎えに行く30分前に出れば良いかな」待ち遠しくて思わず独り言が飛び出る
自転車整備しながら懐かしい曲をかけていると地元近くの高層ビルやタワーを背に西日が輝いている
「明日の準備はこれでよし。応援バットとタオル持っていけば良いけど、またあのフリップ見せつけられるんだろうなぁ…」そう言ってベランダに出ると数多の飛行機が列を成して東京湾に向け飛んでいるのが見える
「副都心近郊のタマワンやビル群のネオンと飛行機の光、やっぱり綺麗だな」そう言って恋が実る前のことを思い出し、物思いに耽って紅茶を淹れる
夜風と紅茶の相性は最高だ

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