0

Trans Far-East Travelogue⑭

俺は地元の成り立ちを復習し、彼女は東京について新たな発見を得てそれぞれ満足した面持ちで俺の仲間達が待つ駐車場へ戻る
荷物の積み込みを行なっている新城の仲間達に「悪いな。待たせたか?」と訊くと「想定の範囲内さ。ただ、一つ問題が発生した」とリーダーが一言返す
彼の補佐役で中学時代の後輩だった奴が「先輩、怒らないで聴いてください」と慌てた顔で言うので「どうした?燃費の悪いキャンピングカーを2台も買ったからガス欠で動けないのか?」と訊くと「燃料代は充分にあります。それよりも松山の副長の彼女さんは先輩の元カノで、未だに寄りを戻そうと狙ってます」と真面目な顔で言われ、頭を抱える
そこで高雄の兄貴に「兄さん、それは本当か?」と確認を取ると「すまない。俺の確認不足だ」と土下座されるので「頭上げてくれよ。話が進まねえだろ確か、俺みたいに恋人いる人は何組かのカップルで纏めて一台に乗せて独り身はもう一台だったよな?」と訊くと「その通りさ。なら、松山組は別働隊にするか?」と訊かれるが「別働隊にしても、松山の奴等は免許ないだろ?新城のアイツも彼女持ちでこちらに来るはずだから誰が運転する?」と訊き返すしかない
「新城と松山は皆別働隊、岡山は君達と同乗でどうだ?」と提案され俺も彼女も二つ返事で承諾する
「多摩行って甲信越回って、そのまま西に突っ切るか?多分それが彼女さんの要望にも沿うと思うが」と言われ「それで頼む。伊豆は最悪新婚旅行で行けば良いから」と笑って返し、枕を始めとした旅の荷物をキャンピングカーの後ろの棚に積み込み、まだ新宿通りという名前の甲州街道を西に突き進む
「ここが四谷の大木戸で、少し先の建物が密集してるのが元々の内藤宿さ」と言ってノリノリで解説すると暫くして信号のない場所で車がいきなり停まる
「降りて京王乗って来いよ。お前、鉄道好きだし、幼少期は故郷の新宿と同じくらい多摩で過ごしたから京王線乗ってたんだろ?それに彼女さんが大好きな近藤勇や土方歳三の故郷も沿線だから水入らずの時間過ごして来い」と言ってもらったので「度が過ぎたら俺も妬くけどな。この時間だと3番線からの特急は厳しくても1番からのライナーだな。京八で会おう」と返して彼女と2人で車を降りて地下ホームへ行く
日は代々木のタワーの方から都庁に向けて傾きかけている

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。