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Trans Far-East Travelogue⑱

松山の仲間と電話で話す間、高雄の兄貴はこの旅に同行する彼女さんと言葉を交わし、彼女さんが俺の彼女に何かを囁く
こちらが電話を切ってから5分ほどで出発となり,小仏峠を越えて西に行きそのまま甲州街道を進むと思いきや、何故か別の道に入る
狭い山がちの道を通るので「このルートで合ってるの?」と彼女が不安そうに訊いて来るが,俺にはこの道には見覚えがあるので「兄さん、道志道使うのか?」と兄貴に訊くと「津久井から下りるの。その理由は、彼女さんに訊いてね」と彼女さんが答える俺には何となくその理由が分かったので、彼女に「福岡は、君の地元は海水浴場が多いんだろ?と言うことは海が恋しいのか?」と耳打ちすると「何でもお見通しだね」と言って顔を赤くして笑ってる
「巨人の長嶋監督みたいなもんだからな」と言って俺も笑うと「これ以上ない表現だな」と言って他の男衆も笑い、「確かに。彼女さん、純粋、というか天然で時々分かりやすい反応して可愛い娘ね」と言って兄貴の彼女さんも笑ってる
「俺が惚れた女だから、可愛いのは当然だな。それでいて優しいし、一途だし、ある程度歴史に関する知識もあるしで最高な彼女さ。ただ、無自覚なのが怖い」と言うと兄貴が「ケトル使えねえと不便だな新竹飲みてえのに」と言って周りの笑いを誘うが、彼女には分からないみたいで「流石に新築は飲めないでしょ」と言って苦笑いを浮かべてツッコむので「新竹ってのは台湾のお茶だよ。掛川とか狭山みたいに、産地で呼んでるのさ」と言ってフォローすると彼女は間違いに気付いて顔を赤くし、俺は「次世代のアライバ誕生か?」というボケに「確かに、関東が誇る美青年と九州出身の人が組むからそうとも言えるかな。でも、俺の結婚相手はここにいる彼女だから一方の嫌いな所は何か、訊かれた時に『強いて言えば、僕より先に結婚したことです』っていう答えにはならないから違うな」と言ってツッコんで全員で笑うと、「おい、東海道線が見えたってことは近いな」という兄貴が呟くので進行方向を見ると、雄大な相模湾に反射する陽の光を受けて彼女の横顔が輝いていた

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