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Trans Far-East Travelogue㉑〜野球大会中編〜

俺達の3試合目は兄貴の彼女さんが先発登板して1回3分の1で15失点と炎上し、中継ぎとして俺が登板してその後無失点に切り抜け、女性陣をベンチに下げ、控えていた高尾組の男衆の活躍でなんとか3回に4点、4回に4点取って逆転し、そのまま16-15で勝利した
4試合目は高雄の男衆がバッテリーで俺と兄貴で二遊間、彼女達は控えで臨むがまたも先発炎上で3回表から9回の表まで俺が火消しを行い、逆転のサヨナラホームランで勝利し、5、6試合目は俺の出番なし
全体のリーグ戦最後、かつチーム防御率の関係で俺達はこの試合で勝てば上位3チームに入ると言う意味で運命の決戦である7試合目は2試合目の時と同じバッテリーで俺が先発となる
俺の出番がなかった時に彼女に付きっきりでブルペンで教えてもらった変化球をやっつけ仕事と言わんばかりに投げまくり、7回裏までパーフェクトに抑えるが、こちらも無得点のまま8回裏の1番打者にいきなり三塁打を喰らい、その後連打で5番を相手に無死満塁のピンチになりマウンドに彼女が駆け寄ってきて「どの球種なら確実にストライク取れる?」と訊かれるが答えられずにいると「とりあえず、ど真ん中に大きく構えるから信じて投げ込んで」と言ってくれたおかげで迷いが消え、本塁と一塁でゲッツーを取り、続く6番の打球は三遊間抜けそうなので覚悟を決めて走って一塁に送球して攻守交代だ
9回表の攻撃は兄貴、俺、俺の彼女の打順で始まる
ネクストに向かう俺に彼女が「私、打つから一塁で見てて」と耳打ちしてくれた
気付いたら兄貴は初球から死球で一塁へ歩き、代走が入る
俺は初球を強振して二塁打、無死2、3塁となり彼女のランニングホームランで逆転し、3-1で9回裏の守備に入る
二死一塁の2-3から粘られるも三振に打ち取る
そしてすぐに彼女が駆け寄り、目には涙を浮かべて「このまま勝つよ。私達は優勝に向けて準備してるって所見せないとね」と言うので「心の準備はできてるみたいだな。大濠公園に咲く桜のように美しい勝利を見せつけるか」と返すと「どちらの台詞も廣岡の応援歌みたいだな」と兄貴がツッコんで笑いを誘う
その日の夜、駿河湾の波の音を子守唄に皆明日のトーナメントに備えて眠りにつく
皆気合いバッチリだ

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