決勝で対戦する相手チームの選手2名が負傷して欠員を出してしまい、助っ人が合流するまで時間がかかる関係で、試合開始が少し遅れるとのことだ
そして、姿を見せた助っ人を見て高雄の男衆と彼女は驚き、俺は頭を抱える
何を隠そう、助っ人というのは松山の副長とその彼女、つまり元カノだったからだ
彼女が「貴方の彼女として、私は絶対に元カノ相手に負けられない。だから、私が先発する」と言うが俺は首を振り、「俺は君の彼氏だろう?だからこそ、君に1人で背負って欲しく無い。2人で、俺達のバッテリーで勝てばいい。だから、俺が先発で組んで、勝とうよ」と返すと彼女も頷いてくれた
兄貴は「幼き日の君を泣かせた、あの東北楽天の名投手みたいになるのか…カッコいいぞ。本当はあのショッキングな試合を見た後の君が元気を取り戻すキッカケになった、あの少年野球の試合みたいに俺が先発で君に女房役組んで貰いたかったけど、君にはいい女房役がいるからなぁ…」と少し寂しそうだ
「兄さん、この娘は女房『役』じゃないんだ。この世に1人しかいない俺の大切な女房なんだよ」
そう返すと、彼女は「お願いしやすよ、旦那…私が籍入れる相手はアンタしかいやしないんで」とイントネーションに訛りを残しながらも東京訛りを意識して言ってくれた
一方、元カノは松山の副長と台湾華語で話している
兄貴が「『元カレに一矢報いてやれよ。そして、より戻したいなら戻せばいい』と言ってるぞ」と通訳してくれた
「言ってくれんじゃねえか。絶対負けらんねえな」そう言うと、彼女も「負けとうないわ。絶対勝つで!」と言って燃えている
マウンドの準備が整った
さあ、プレイボール!