もう何億回も聞いたチャイムの音に目を覚ます。
同時に肩を叩かれる。
「おっはよ」
ニヤニヤと笑う君が上目遣いで僕を見る。
何もなかったようにおはよ、と返す。
「寝てたでしょ?」
いや別に…なんて言うけど
正直1時間分の記憶が無い。
「先生呆れてたよ〜?こいつまたかって顔してた」
まじか、さすがに呼び出されるかな
「いや、大丈夫。こいつ先生の言葉噛み締めてて目が開かないんですって言っといた」
どこが大丈夫なのか教えてくれる?
いつも通りのふざけた会話。
その会話がとても、とても愛おしい。
来年からは学生ではなくなって
自分の力で僕は、僕らは生きていくことになる。
正直不安しかなくて、ワクワクはなくて。
君と笑う日が日常ではなくなって
きっと会うことも少なくなって。
それでも僕は流れゆく日々に身を任せ
寂しさなんか知らないふりして
この席で、君と一緒に、春の芽吹きを待っている。