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Trans Far-East Travelogue㉗〜この先も、2人で〜

地元を挙げて開催してもらった祝賀会も済み、無事入籍も済ませた上で嫁と2人、実家のベランダで夜景を眺めていると、突然携帯が鳴り響く
高雄の兄貴からだ
「日本の台中からかけてるんだが、聞こえるかい?」「もう清水まで行ったのか。早いな。んで、聞こえているが、どうした?」「一つ訊きたいんだが、良いかな?奥さんも一緒だとありがたい」「勿論、構わねえよ」
そう言ってスピーカーを起動すると嫁も寄って来た
「本題に入ろう。君は実家に帰ったんだろ?この先どうする?」といきなり直球質問が来た
「俺は…博多までは最低でも行こうと思ってる。俺だけ地元にいて、長旅続きなのに縁もゆかりもない東日本にずっといる嫁に悪いからな。故郷の土地でゆっくりして貰いたいし、鹿児島以北なら新幹線で行けるし、沖縄や桃園にいてもあの街は空港から近いんですぐにエアチケ取って飛べばなんとかなるっしょ」と返すと側で聴いていた嫁が「昨日の決勝、覚えてる?前日に何試合も登板した後『君に1人で背負って欲しくない』ってダブルヘッダー登板でもお構い無しに勝ちに導いてくれたでしょ?私も貴方に1人で背負って欲しくないの。貴方と一緒なら、私は故郷を素通りしてどんな所でも行く覚悟できてるよ」と言ってくれた
「君の意思は分かった。なら、俺も応えなきゃな」と覚悟を決めて言うと兄貴が「2人とも、やっぱり相性良いじゃねえか」と笑った後、続けて「流石に新婚夫婦に気ぃ遣わせたかぁねぇから、ルートを変えようと思う。俺達が沖縄着く日に博多を出て韓国経由はどうだ?大連で5時間待ちだけど、空路でアモイ行けるぞ」と言い、「アモイ…そこから金門、馬公経由の基隆で予定通りってことか」と呟くと「その通りだ。どうだ?行くか?」と訊いてくるので「どうする?」と嫁に訊くと暫く考え込んだ後、「彼と一緒なら何処へでも行きます」と言うので、「Port Arthur南北制覇ってことか。面白え、行かせて貰うよ」と笑って答え、俺も承諾する
博多までの手段を訊かれ、嫁に相談すると俺が決めた方が良いと返されるが、決めかねていると嫁が
「満足するまで首都圏の電車乗り回して、どこか新幹線出る駅から新幹線ならどう?」と提案してくれたので「なら、熱海から瀬戸で高松、徳島だな」と返し、全てのルートが決まった
新枕を交わす間に朝になり、地元の朝日も俺達を祝福してくれているようだ

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