「え、○○知らないの?」
通学途中、耳に飛び込んできた言葉に嫌な予感がした。
「やば!え、ホントに知らないの?○○だよ?」
「うん…誰?」
「やばぁー!○○知らないとかやばいよ?」
ほらやっぱり。
その子たちが話題にしていた人は確かに、とても有名な芸能人だった。
この手の会話は、小学校時代に時々遭遇していた記憶がある。
私は、この会話がとても苦手だ。あるものを自分が知らないだけで、自分がまるで異常者のように扱われる、理不尽すぎる会話だからである。
“普通”
そこからずれた人は“異常”。
果たしてそうなのだろうか。
私は、“普通”は人の数だけ存在すると思う。だから、一人だけの“普通”で全てをはからないほうがいいのではないだろうか。
冒頭の会話が私に向けられたら、笑顔でこう返すだけで精一杯だろう。
「あなたからしたら、やばいよね」