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復讐代行〜第28.5話 悔恨〜

「でもね」
光ちゃんはさらに続ける。記憶から抜け落ちたその言葉に私は大事なことを思い出させられた。
「わかんないから全力で相手を思いやることができるんだよ」
思い返せば私は最近予測ばかりだ。
相手を、守りたいものを思いやっていただろうか
そんな今の私の逡巡を待ってくれるはずもなく、私の体は逃げるようにフェンスを登り始めた。
「待って!闇子ちゃん!」
「うるさい!光ちゃんの言葉は私を惨めにするだけ!これ以上私を…傷つけないで!」
今になってみれば私はかなり酷いことを言っている。
しかし当時の私にとってはそれだけ憐れまれるのが屈辱だったのだ。
もうすぐ左手がフェンスの上につく。
その時見上げた私の視界に光ちゃんの右手が入り込んでくる。
「なんで…?」
「全力で思いやるって言ったでしょ?あなたが惨めにならずに自殺を踏みとどまってくれる方法を探してる!」
私の死んだ目まで潤さんばかりに目を輝かせて素っ頓狂なテンションで光ちゃんは言った。
「そんなものない、もうすぐ私は飛び降りる」
「ならちょっと強引だけど力ずくで止めるよ」
左手はフェンスの頂点をつかみ、体を引き付ける。
視界から一瞬光ちゃんの右手が消える。
これで死ねる…
辛いだけの現実とはおさらばできる…
「だから、止めるって言ってるでしょ」
光ちゃんは私の足を掴んでいた。
「ウザい!何度も言わせないで!」
私は光ちゃんを何度も蹴る。どんなに心が傷んでもその足が止まることはない。それでも彼女は少しずつ登り、再び私の視界に入り込んできた。
「わかった…そこまで言うなら私も一緒に死ぬよ」
「え?」
私には記憶通りだが当時の私には驚きしかない。
その驚きに思わず、力が抜け、手が滑ってしまった。
「あっ…」
体はフェンスを乗り越え、宙へ投げ出された。
懐かしい感覚だ…気持ちいい…
「闇子ちゃん!」
後ろから聞こえる光ちゃんの声に振り返ると彼女は私の体を抱きかかえた。
そこで視界が途絶え、気がつくと私の体が下敷きになっている。
「え…?」
そうして私は初めて人と体を入れ替えた。
私は光の体を、命を奪ったのだ…

to be continued…

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