「よう、砂漠の。とりあえずこの状況どうにかしてくれ」
そいつに話しかけると、ようやく覚醒したようで急に慌て出した。
「え、ああ、ああッ⁉ 何だこの状況!」
「こっちが言いてえよ」
「とにかくその化け物どっかやってくれ!」
「ああうん」
駿竜を消し、砂漠の異能者の胸倉をつかむ。
「さあ、この砂漠をどうにかしろ。ここは温暖湿潤気候帯で今は真冬なんだよ」
言ってやると、そいつは目を泳がせながら答えた。
「い、いやな、実を言うと俺もよく分かってねえんだよ。この滅茶苦茶な力に目覚めたのが多分今日の朝、自覚したのはこの砂漠の中でも全く暑いなーとか日差し強っとか思わないなって思ったあたりからだから、今日の正午くらい。とりあえず家を出てみたら突然自分の周りに砂嵐が起きてさ、どうしようも無かったんだよ……」
「……なるほど、理解はできた。で、この状況、直せるのか、直せないのか」
「実を言うと……ちょっと厳しいかなって……」
「駿竜、来ませい」
あの怪獣を再び召喚し、砂漠の奴の首から上を口の中に収めさせる。別に噛みちぎらせようってわけじゃ無い。ただの脅しだ。
「……なあ怪獣。そいつ、もしかして異能の使い方に慣れていないんじゃあないのか?」
女王さまが話しかけてきた。
「ほら、今日発現したばっかりだって言っていたろう」
……そういえば。
「つーことはこの砂漠、このままになるのか」
「ああ……最悪なことに。本当に申し訳無いんだけど」
怪獣の口の中でそんな言い訳をするあたり、こいつ結構胆力あるな。
「……なァ怪獣。良い方法があるぞ?」
女王さまがいたずらっぽく後ろから声をかけてきた。
「何だ」
「怪獣、お前そいつを後見しろ」
「……はぁ?」