私は知っている、あの人のsoloには2種類あって、それを毎回直前になって、どちらを使うかを決めているということを。そしてどちらも練習しては、その仕上がりに満足出来ずに、首を傾げながら再び奏で始めることを。脳内で他のパートを奏でているから、常にノリノリで、あの怖そうな顔も、独りの目も和らいでいるということを。
常に見てきた。聴いていた。いちばん近くとは言えなくても、その音全てを聴き逃すまいと自分の手を止めて。楽しそうなあの人が好きだった。私だけがあの人の裏面を知っているのだと思いたかった。この想いが恋だと思いたくはない、ただ一人のミュージシャンとして、対等な立場でずっと見ていたかった。恋だと思った途端に、私はただの卑怯者になってしまうと恐れた。
それなのにsoloと会話が入った録音は編集出来なくて、心のどこかに嬉しく思っている自分もいた。あの音が好きなだけではなくて、奏でているあの人のことも好きなのだと、そんな恐ろしい考えは捨てたかった。
貴女らしい優しい詩ですね(*^^*)貴女の恋が実りますように☆