「おい、おい!」
お前大丈夫か⁈と誰かの声が耳元で聞こえる。
ハッと目を覚ますと、カラスが黒羽の顔を覗き込んでいた。
「あーよかったー」
てっきり死んじまったかと思ったぜ、とカラスは言う。
「ぼくは死なないよ」
黒羽はムクッと起き上がりながら呟く。
「君の異能のお陰で傷の治りが早くなったからね」
黒羽がそう言うと、ああそうだったなとカラスは笑った。
「…それで、“あいつら”はどうなったの?」
黒羽が尋ねると、カラスはそうだな、と答える。
「アイツらは全部オレ様が倒したぜ」
この通り、とカラスは黒羽の肩に飛び乗る。
黒羽が辺りを見回すと、あちこちに黒ネコの亡骸が転がっていた。
「まぁ今回は数が少なめだったからすぐ片付いてよかったよ」
もっといたら大変だったぜ、とカラスは笑う。
「さ、そんな所に座り込んでないで立てよ」
今日はもう帰ろうぜ、とカラスが促す。
そうだね、と黒羽は立ち上がった。
その時だった。
「ニ゛ャーッ」
鳴き声が聞こえたので振り向くと、黒いネコが1匹襲いかかってくる。
咄嗟に黒羽は避けたが、手を引っかかれてしまった。
「やべぇ‼︎」
カラスがそう叫んで飛び上がる。
ネコはサッと方向転換してこちらに飛びかかってきた。
「!」
黒羽は思わず飛び込んできたネコを捕まえた。
「おい!」
お前何やって…と塀の上でカラスは言いかけたが、黒羽は気にせず黒ネコをがっちりと掴む。