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musician #2

Metronome

かちっ、こちっ、かちっ、こちっ、と鳴る、一定のテンポの中を私たちは走らなければならない。たとえそれが孤独なものでも、君と二人だったとしても、胸の痛みも高鳴りも抑えて、ただ彼の鳴るがままに合わせて、無機質な枠に収まらなければならない。

それでも私はたまにつんのめる、そして転びそうになる、それをぶっきらぼうに引っ張って支えてくれるのは君だ。宙ぶらりんになってはじめて、私は自分のずれに気づく。
「あれー、キープできてたつもりやってんけど」
『どこがやねん』
そんな些細な会話すらも、メトロノームは切っていく、まるでそれが夢であるかのように、跡形もなく。

メトロノームに区切られた時間の欠片を溢さないように、今日の練習での思い出を全部大切にして、ひそかに心に片付ける。
そんな風に、私と音楽との時間は色づいていくのだった。

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  • 設定の説明もせずに始まった小説
  • 舞台は吹奏楽部
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  • 設定の説明なんかしなくてもいいのよ。
    ウチも設定説明なしに小説を始めるパターンが多いから。
    むしろ設定についてストーリー中で語っていった方が綺麗だと自分は思ってる。

  • →→レスありがとうございます

    確かに、設定をきちっと書いてしまうよりかは物語の中で少しずつ紐解く方が素敵ですね
    自分にその才能があるかどうかは分かりませんが、しばらくはこのまま書いていこうと思います