0

復讐代行 最終回 前編

あの子は…
私を助けて死んだ…
私はその時に入れ替わり方を知った。
それからはこの体の預け先を探す日々だった。
「やっと見つけたんだよ光ちゃん、だからもうすぐ私もそっちに行くね…」
屋上の風が気持ちいい。
同じ場所とは行かなかったけど、高校の屋上、体を預けた場所で私は消える。それで今度こそ儀式は完了する。
「待って!」
“光ちゃん…!!”
でもありえない…彼女のはずがない…
だって今あの体は…!
「なんでここが?」
「お前は最初、ここで俺と体を入れ替えた、そしてもう一度入れ替えろと言うと今すぐは無理だと言った。ここでひとつの仮説が立つ。あの時の体の入れ替わりは…お前の命を賭けたものだったんじゃないのか…」
的を射ていることがバレないようなるべく素知らぬ顔を通す。
「ん?」
「とぼけんなよ、お前は魂を移して体を入れ替える。古くから伝わる物心二元論的考えだ。そしてそれを引き起こすには物体つまり身体から、非物体ここでは魂が分離する必要がある。そこに飛び降りなどの浮遊感はうってつけだ。屋上ならそれに近い感覚を共有できる。どうだ?間違ってないはずだぜ」
完璧で流れるような説明に思わず笑みがこぼれた。
「随分理路整然だね、誰かの入れ知恵?」
「まぁな、でも認めるんだな」
「だってもう死ぬからね」
脅しのようにフェンスに手を掛ける。
「だからそうはさせないって」
“まただ…光ちゃんに見える…”
「俺…何言ってんだ…?」
どういうこと?本人も自覚がない…
まさか…身体の人格…?
「前にも言ったでしょ、全力で思いやるって!」
“やっぱり…でも”
「なんで?」
「身体と魂が同じことを思ってれば…な!」
同じこと…
「今だ!」
その一瞬の逡巡の間に闇子の体は引きずり落とされた。
「なんで邪魔するの!あなたなら…2人ならわかってるでしょ!私は…この命を賭けて…」
「命を賭けて『いじめ』を犯罪として見られるきっかけを作る…ってか?そしてその復讐の相手はいじめを行うやつじゃない、いじめを学校内の揉め事にまとめるカリスマ性を持ったやつだ…この大橋光みたいな」
「そうだよ!こいつらの善意が罪を揉み消すんだ!だからそれを身を持って味合わせる。それがあの時決めた私が下すあなたへの懲役よ!大橋光!」

to be continue

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。