「ま、そんな事は良いからさ」
とにかくゲーセン行こ、とネロは前を向いて歩き出す。
わたし達も、そうだなとか言って歩き出した。
…と、ネロが不意に立ち止まった。
「?」
どうしたネロ、と耀平が彼女に尋ねる。
しかしネロは答えない。
「…」
ネロは先程わたし達とすれ違った少女達の一団の方を見ていた。
「ネロ?」
ネロ…おいネロ!という耀平の声で、やっとネロは我に返る。
「どうしたんだネロ」
誰か知り合いでもいたのか?と耀平はネロの顔を覗き込む。
ネロは驚いたような顔をしていたが、やがてうつむいてこう答えた。
「…何でもない」
「何でもないって…どういう事だよ」
耀平は思わずそう聞く。
「…」
ネロは暫く黙りこくっていたが、その内口を開いた。
「何でもないものは何でもないんだよ」
ネロはそう言って、また前を向いて歩き出す。
「あ、ちょっと…」
耀平は置いて行かれまいとその後を追う。
わたし達残りの3人も、その後を追った。