それから約30分後。
わたし達4人はクレーンゲームの台の前でネロを待っていた。
「…ネロ、戻ってこないな」
「だな」
「うん」
耀平の呟きに対し、師郎とわたしはそう返す。
「アイツ、ホントにトイレに行ったのかな」
耀平が不意にこぼした。
「どうして?」
わたしが思わず尋ねると、耀平はこう返す。
「いや、ネロってたまに黙ってどっか行っちゃう事があるからさ」
7月に新寿々谷に行った時とか、と耀平は付け足す。
「だから今回もそうなのかなって」
耀平はそう言って腕を組む。
「…それで、どうする?」
耀平、と師郎が彼に聞く。
「うーん、そりゃ…」
探しに行くだろ、と耀平は笑う。
「だよな」
そう言って師郎も笑う。
「じゃあ、行こうかね」
そう言って耀平は両目を光らせ歩き出す。
わたし達3人も歩き出した。