「でも、その”ほぼ全員”が皆自分の意志でネロをいじめてたかと言えば、そうではないらしい」
「え、どういう事?」
耀平の言葉に対し、わたしはこう聞く。
「…実はこのいじめには黒幕がいてな」
ソイツが皆を裏で操ってたんだ、と耀平は言う。
「そしてソイツの名は…論手 乙女(ろんで おとめ)」
またの名を、”オーベロン”と耀平は淡々と告げた。
「この間のあの女だ」
…そんな、とわたしは思わず呟く。
耀平は静かに続ける。
「ネロが小3だったある日、アイツのクラスにその論手 乙女が転入してきた」
そして瞬く間にクラスの中心人物になった、と耀平は言う。
「異能力を使って、な…」
「え異能力⁈」
わたしはつい反復する。
「異能力の発現は10歳前後だからな」
小3位で発現してても何らおかしくない、と師郎は解説する。