「兄さん,皆はどうなってる?」そう俺が口を開くと兄貴は「俺たちが風呂入ってる間にエルサレムに着いて別働隊とも合流したそうだ。アイツらはおそらく群山で泊まるんだろうな」と言うので頷くと,嫁が「皆まだ日本にいるのよね?エルサレムと群山って日本だとどこ?」と口を挟む。
そこで,俺が「平和はエルサレムのあるイスラエルの言葉,所謂ヘブライ語ではシャロームと言う。エルは確か冠詞だけど都という意味もあったはずだから,エルシャロームは平和の都,つまり平安京と言い換えられる。もう分かると思うけど,京都市のことなんだ。群山は韓国の都市なんだけど,西に向かって流れる大きな川が海に注ぐ所にあり,また日本が占領した時代には米の積出港として朝鮮半島全域から米が集まり,日本全国に出荷された歴史があり、今でもその地方では有数の港街さ。またその街の海,厳密には河口部には、更に前の時代からある古戦場もあるんだ」とまで解説していると嫁が「まるで大阪みたいな街ね。大阪も江戸時代には天下の台所で米が集まり,また淀川という西に向かって流れる川の河口がある。更にその前の時代は石山本願寺との合戦があったり織田信長が水軍と戦った古戦場もあるのって大阪みたい」と言うので「よく気付いたね。流石は俺の妻だ。君の言うとおり,群山と大阪市は似ている。だから,日本の群山=大阪市なんだよ」と言って締める。
すると,腕時計を見ていた兄貴が「海に,有明に行かないと厳しいのでもう行くわ」と言い、俺は兄貴の言わんとすることを察して頷き,彼女さんも兄貴に続くのでここで分かれることになった。
一方,嫁は1人,「私は玄界灘の方出身なのに,なんで有明海なの?」と言って不服そうに頬を膨らませていた。
ちなみに,この群山の古戦場は歴史上有名な白村江のことです。