「黎が、黎がお前に会った時、寂しそうだったって言ってたんだよ」
だから会いに来たんだ、と耀平は語気を強める。
「…黎、言ったの?」
ネロは扉の隙間から、黎の方に目を向ける。
「…」
黎は静かにうなずいた。
「…」
ネロは言っちゃったのか、と言わんばかりにため息をついた。
「ネロ、お前どうしてこの1週間連絡に応じなかったんだ」
何か、先週の件と関係してるのか?と耀平が尋ねる。
「…それは」
「それは?」
ネロは気まずそうな顔をしたので、耀平はネロに顔を寄せる。
「…スマホ行方不明になった」
「は?」
思わず回答に、耀平はポカンとする。
「だからスマホが部屋の中でどっかいっちゃったの!」
そう言って、ネロは恥ずかしそうな顔をした。
「…何だよ、ソレ」
耀平は呆れるあまり後ずさる。