とある学校に伝わる七不思議。
その学校には、七不思議が大量にある。便宜上これを「百八不思議」と生徒たちは呼んでいるが、実際にはそれ以上とも、実は数十個程度ともいわれ、総数は誰も正確には掴めていない。
実際のところ、それら大量の怪談のうち大部分は生徒たちが即興で生み出したものであり、ただの作り話である。
しかし、この無数の怪談の中に7つだけ、『本物の怪談』が紛れ込んでおり、それら全てを『本物』だと認識した上で知ってしまった者には、死すら生温いほどの凄絶な不幸が降りかかるという。
だからこそ、その学校の生徒たちは日々、新たな『偽物の怪談』を作り出し、まるで本物であるかのように、なおかつ偽物だと全員が知りながら、語り継ぐのである。もしも『本物の七不思議』を全て知ってしまったとしても、「どうせ偽物だろう」と笑い飛ばして身を守るために。