小学校の校舎内はひっそりとしていた。
どこの教室も廊下も真っ暗で、人工精霊達の足音だけが響いていた。
「ホントに誰もいねーな」
露夏が手持ちの懐中電灯で辺りを照らしながら呟く。
「最近の学校では夜に警備員が巡回したりしないからよ」
代わりに監視カメラやセンサーが作動してるの、とピスケスは言う。
「でも今は私達が“学会”の任務で入っているから、“学会”の工作でセンサーの類はオフになってるのよ」
ピスケスがそう言うと、かすみはふーんと頷いた。
「じゃ、関係ない自分やきーちゃんがいることはバレてないんだ」
かすみの言葉に対し、ピスケスはそういうことねと笑う。
そう話しながら歩く内、5人は廊下の角にやって来た。
「あ、音楽室!」
角に“音楽室”と書かれた看板を認めたキヲンがその教室の扉に駆け寄る。
あ、おいとナツィはキヲンを呼び止めようとした。
「…」
キヲンは興味あり気に扉の窓を覗き込む。
「夜になると壁に貼ってある昔の音楽家の肖像画の目が動くんだぜ」
「えっ」
いつの間にか一緒に窓を覗き込んでいた露夏にそう言われ、キヲンは驚く。