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うちの七不思議Novel Edition:鉄棒の上の幽霊 その⑦

インカメラを起動して、画面で背後の様子を確認しながら走る。あと数mでコンクリートで舗装された場所に着くが、奴が追って来ている様子は無い。しかし、奴は地面の下に潜ることもできるわけだから、全く以て油断はできない。

ふと、嫌な予感がして足を止めた。
慣性で前に引っ張られるのを全力で堪え、そのまま後ろに跳ぶ。直後、俺がさっきまでいた場所のほんの1歩先、そこの地面の下からあの『サメ』の大顎が現れた。
(この野郎……たしかに目眩ましも成功してたのに、復帰して追いつくまでが早過ぎるだろ……!)
いや、正直なところそこは問題じゃない。今本当にマズいのは、奴が鉄棒からこれだけの距離を離れられるという事実の方だ。
奴がまた頭を地上に出してこっちに突っ込んできた。考えるのは後だ、とにかく逃げなくっちゃならない。
通学鞄をその場に投げ捨てて、斜め右前方に転がり込むようにして回避行動をとる。ちょうど、正面からやって来るあいつの横をすり抜けるような形になるが、この回避は上手く成功して、『サメ』は俺の鞄に頭突きをかまして通り過ぎて行った。
(今の動き…………、ちょっと面白いことを思いついたぞ)
さっき轢き飛ばされた鞄だって回収しなくっちゃならない。そのついでに、ちょっと実験してみるとしようか。

  • 多分、次回で決着する
  • 『サメ』は大きいので移動速度もつよい
  • うちの七不思議
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