「…ち、みあきち!」
仲間の呼ぶ声で、わたしは我に返った。
思わず周囲を見渡すと、そこはわたしが通う“STI”のカフェテリアだった。
「どうしたの?」
みあきち、と髪を二つ結びにした少女が心配そうにわたしの顔を覗き込む。
「…ごめんなさい」
ちょっと考えごと、とわたしは答える。
「そっか」
二つ結びの少女はそう言って“部隊”のメンバー達に向き直った。
「じゃあさっきの話の続きね」
そう言って彼女は話を始める。
…いつか2人で一緒に戦おう、か。
わたしは仲間が話す様子を見ながらさっきのことを思い出す。
いつかの兄と交わした約束は、結局果たされることはなかった。
わたしは兄が通う“STI”…”澁谷學苑“を出て行ったのだ。
理由は色々あるが…周囲からの兄との比較に耐えられなかったことも大きな理由だ。
優秀な兄と凡才の妹。
優秀な兄の方が優遇されるに決まっている。
わたしはそれに耐えられずに、あの“STI“から逃げ出したのだ。
そしてわたしは今、このありふれた“STI”…“幕針文化学院”に通っている。
本当は一般の学校でもよかったのだが、そこは”名門“であるわたしの家が許さなかったのだ。
ともかくそこでわたしは高校生活を適当に過ごすつもりでいたのだが…
なぜか自分の“部隊”を持つハメになってしまった。
どうしてこうなったのか、話すと長くなるため割愛するが、わたしの平凡になるはずの日常は劇的に変わってしまった。
…これは平凡なわたしの”部隊“、”加賀屋隊“と数多の“スパークラー”達の、戦いの記録である。