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憧憬に泣く 1



 鏡都府某所、私立大学附属STI集会場にて、一年生の緊急集会が行われた。
 一通りの前置きの後、学年主任が言った言葉に集会場中がざわめいた。
 そのざわめきの中に、善はいた。彼には状況がよく飲み込めていなかった。体育座りをしたままただ口を半開きにして呆然としていた。目は虚空を見つめる。その後の学年主任の話も耳に入らない。
「……ぜん、おい善!」
 善の前に座っていたクラスメイトがずっと呼びかけていたらしい。半ば怒鳴ったクラスメイトの声にやっと気が付き身体をビクッと震わせ目線をゆっくり彼に向けた。善を見つめるその目は心配を言葉なくとも体現している。
 善はキョトンとした顔で、やっと口を開いた。
「……な、にが、どう……って?」
「和樹が……和樹がっ和樹が死んだんだよ!」
 尋ねられたクラスメイトは言うのを躊躇いつつ、涙をためながら至極はっきりと簡潔に告げた。
 和樹が死んだ。
「そんな訳……そんな、そんなっ……」
 裏返り嗚咽する声でそれだけ絞り出せた。
 善は状況を受け入れられなかった。そして間もなく彼は集会場を飛び出していった。

  • 設定ミスってたらすみません
  • 若干重めでいきます
  • 鏡界輝譚スパークラー
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