「うちのSTIも、戦闘経験を積むのに必死だな」
澁谷學苑の方が強くて負けが見えてるのに、と水晶の右隣に座るメガネの少年…熊橋 寵也(くまはし ちょうや)は言う。
「えーいいじゃん」
いい刺激になると思うのにーと弾は口を尖らせる。
「まぁそれはそうだけどさ」
寵也と弾がそう話していると、寵也の右隣に座るサイドテールの少女…呑海 巴(どんかい ともえ)は水晶の様子に気付いたのか、彼女に話しかける。
「加賀屋さん?」
どうかしたの?と聞かれて、水晶は慌てて顔を上げる。
「…なんでもない」
大丈夫、と水晶は言うが、他のみんなは心配そうな顔をする。
「…そう言えばみあきち、元々は澁谷學苑に通ってたんだよね」
ふと紀奈が呟いた。
「澁谷學苑の人が来るのは、ちょっとアレだよね…」
紀奈が暗い顔で呟くのを見て、水晶はそれもあるんだけど、と言う。
「代表部隊の隊長が兄さんだから…」
水晶がそう言った所で、突然サイレンが鳴った。
「管轄地域内でカゲの出現を確認」
出撃可能スパークラーは速やかに出撃せよ、場所は…と校内放送が流れる。
カフェテリアのくつろいだ雰囲気が、一気にピリつく。
「おっと、出撃か」
「騒がしいねぇ」
紀奈と弾は呑気に天井のスピーカーの方を見る。
「そんなこと言ってる場合か」
「そうよ、人が死ぬかもしれないのよ」
寵也と巴は険しい顔をする。
「はいはい分かってますよ」
んじゃ行こうか、部隊長、と紀奈は水晶の方を見る。
水晶は無言で頷き、そしてこう宣言した。
「加賀屋隊、出撃!」