マズい、そう水晶が心の中で呟きかけた瞬間、背後から声が聞こえた。
「伏せて‼︎」
後ろから無理矢理押されて倒れるように水晶は地に伏せる。
「“]^>;>;‘${$!.・‼︎」
伏せた水晶の頭上を光線が飛んでいった。
『加賀屋さん?加賀屋さん⁈』
通信機の向こうで巴が心配そうに尋ねる声が聞こえる。
「…」
水晶が起き上がると、懐かしい制服を着た少年が目に入った。
「水晶」
「兄、さん…?」
水晶が聞くと、少年は良かったぁ…とその場に座り込む。
「妹に目の前で死なれるかと思ったよ」
危ない危ない、と少年は呟く。
「で、大丈夫?ケガはない?」
どっか痛い所は…と少年は水晶に近寄る。
「…」
水晶はただただ呆然としていた。
まさかこんな所に、”兄“が現れるなんて。
「みあきち!」
…と、紀奈が水晶に駆け寄って来た。
「…と、どちら様?」
紀奈が怪訝そうに尋ねると、少年は紀奈に向き直って答える。
「澁谷學苑3年の加賀屋 石英です」
「えっ、加賀屋 石英⁈」
あの有名な…と紀奈はうろたえる。
「うちの妹がいつもお世話になっています」
そう言って石英が頭を下げると、紀奈はそりゃどうも…と頭を掻く。
やべっ、石英の名前にルビ振り忘れた。
加賀屋 石英は「かがや せきえい」と読みます。