「て言うか、みあきちのお兄さんてこの人だったんだ」
紀奈がそう言うと、水晶は出撃前に言った気がする、と呆れたように言った。
「…それにしても」
どうしてここが分かったの?と水晶は石英に尋ねる。
「え、あぁ」
水晶が出撃したって聞いて、スパークラーが個々に持たされる発信機の信号を頼りにここまで来たんだ、と石英は説明する。
「でもまさか大型種がそこにいたなんて…」
石英はカゲを見上げながら呟く。
大きなカゲはゆらゆらと交差点を通り過ぎていった。
「…これくらいなら、みんなで倒せるか」
石英がそう言うと、紀奈はえ、と驚く。
「こんなデカいの、倒せるんですか⁈」
「そりゃあもちろん」
ぼく達澁谷學苑のスパークラーはこんなのとばっかり戦ってるよ、と石英は笑う。
「東鏡は激戦区だもの」
あのレベルを倒すのは日常茶飯事、と水晶は呟く。
「やっぱ名門すげー」
紀奈はそうこぼすしかなかった。
「とりあえず、ぼくの部隊のメンバーをここに呼ぶよ」
水晶達は下がってて、と石英は優しく言う。
「ここはぼく達が…」
「いいえ、わたし達も戦います」
石英の言葉を遮るように、水晶は毅然とした態度で言った。
「どうして…」
「兄さん達の部隊は全員揃っていないでしょう?」
交流会の準備に訪れているのは兄さん含めて5人のはず、と水晶は続ける。
「わたし達の部隊が援護します」
その様子を石英は驚いた顔で見ていたが、すぐに優しい顔に戻った。
「分かった、援護、任せたよ」
石英は水晶の肩を叩いた。