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白と黒と青き星 〜第2話 戦闘〜五代ジョー編

校長から高田美空への説教はジョーの元にも届く。
「あいつ…またやったのかよ…」
大型のカゲに乱斬りを浴びせるその手が止まりそうな程力が抜ける。しかし呆れながらもそれが彼女なりの合図だというのもジョーにはわかっていた。
「俺もそろそろちゃんとやるか…」
袈裟斬りで大きな傷をカゲに刻み、その反動を使って後ろへ飛び間合いを取る。これが彼なりの必殺技への儀式だ。鞘こそないが納刀に等しい逆手持ちでP.A.を持ち無行の位で呼吸を整える。
スーッ…ハァー…
“相手は中長距離攻撃が主体で近接戦もその応用に過ぎない。加えて触手も向きがあり他生物同様に上からの攻撃には必ず隙がある。残るはコアの位置だけど…”
…タッ…タッ…
小さいが確実に近づく足音。
「行くか」
そう呟いて走り出す。迫る触手を捌き、時に切りながら空中へ飛び上がる。触手の届かない高さまで飛んだところで姿勢を整える。落下が始まる。触手の迫る速度は先程までの比では無い。
「アァーー!」
P.A.は完璧なタイミングで振り下ろされ、次々に触手を切っていく。そのまま刃は本体を捉える。先程の乱斬りとは違い確実に刃が入る感覚。刻んだ傷が開き、さらに深いところまで刃が入っていく。進むほどにコアらしきものがはっきりとした点になっていく。しかし、当然コア付近は固く、刃の勢いも抑えられていく。
“もう少し…届け…”
その意志が止まり始めた刃を進める。刃先から今までと違う何かがジョーに伝わる。
“届いた…!”
カゲの体に足を突き刺し、体勢を取る。
“回復する前に打つ!!”
再び大きくP.A.を持ち上げる。
「ぅらぁーーー!」
彼の最も得意な斬り方で振り下ろす。
間違いない手応えでコアが真っ二つに割れ爆散する。しかしどこか様子がおかしい。
“おかしい…コアを破壊すれば体が融解するはず…”
「まさかデコイ…!?」
一瞬で考えうる全ての可能性が頭を駆け巡る。
「さすがバディ、私の期待通りだよ!」
背後から軽薄とさえ取れる愛嬌全開の声とクナイが飛んでくる。そのクナイは俺の肩口を掠め、カゲの体に突き刺さった。
「美空!お前何のつもりだ!」

  • 鏡界輝譚スパークラー
  • まとめる能力が欲しい…
  • 次回、第2話完結!相棒編!
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