0

鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅷ

ちょうど歩道橋の壁に隠れた所で、耳の通信機から石英の声が聞こえてきた。
『作戦はぼくがさっき言った通り、狙撃手以外のメンバーが陽動で一斉に銃器型P.A.を撃つ』
それでカゲを混乱させている隙に狙撃手がコアを撃ち抜く、と石英は続ける。
『みんないいね?』
石英がそう尋ねると、通信機の向こうから了解!と威勢のいいクルセイダースのメンバーの声が聞こえた。
加賀屋隊もそれぞれ返事をする。
『じゃあ目標が近付いてきたら合図を出すから』
それまで待っててね、と石英からの通信は終わった。
「…それにしても」
石英の通信が終わった直後、寵也はポツリと呟く。
「この辺りは妙にカゲが少ないな」
「そう?」
弾は首を傾げる。
「他のみんながこの辺りのカゲを倒しちゃったからじゃない?」
別におかしいことでもないよ、と弾は続ける。
「確かに、この辺りはほとんどカゲはいないけれど…」
STIから支給された周囲のカゲを探索する端末を見ながら巴は言う。
「この通り、周りに隠れている訳でもないみたいだし…」
そう言いかけて、巴は言葉を失った。
「?」
巴、どうかした?と紀奈が巴の方を見る。
巴の目は手元の端末に釘付けになっている。
「巴?」
「マズい」
紀奈の言葉を無視するように、巴は呟く。
「え、マズいって…」
「こっちにカゲの群れが近付いてる‼︎」
巴はものすごい剣幕で叫んだ。
それと同時に頭上から黒い何かがいくつも飛び込んできた。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。