甲斐田正秀の噂は、俺が知らなかっただけで校内では結構知れた七不思議だった。入学して半年やちょっとの我々1年生の間にも十分広まっていた。ただ、『七不思議のひとつ』として語られてはいるが、7つ全て知っている者はいないらしい。それどころか噂としては甲斐田正秀の話しか存在しないとみられる。何度か安っぽい子供騙しにもならないような噂話が発生してもすぐに自然消滅する。
しかし甲斐田正秀の話は違う。現れては消える並の噂話と同じような陳腐な話。安っぽいし、救いようがないし、バカバカしい。なのに何故か惹かれる、みたいなキレた魅力もない。本当に取るに足らない。でも、今まで根強く残ってきた。件の先輩も、彼の先輩が先輩から聞いた話を教えてやると言った。
……もしやこれは本当なのではないか?
俺は中学一年生のガキで、そしてバカだった。
わぁい遅刻組だ。完結までガンバ!