倒れ込んだヌシはそれ以上動かず、肉体は少しずつ溶け消えていった。それに伴い周囲の小型のカゲも奇妙な鳴き声を上げながら消滅していく。
「助かったぜ真理ちゃん……」
うつ伏せに倒れたまま、ガッツポーズを見せる宗司。
「……何やってんだ宗司お前」
「さっきまでカゲの群れが覆い被さってたんだよ」
呆れ顔の灯に答えながら、宗司はどうにか立ち上がった。
「……うえ? カゲ達もういない……?」
宗司と並んでカゲ達にもみくちゃにされていた小春も、宗司たちの話す声に気付いて立ち上がった。
「お疲れー小春ちゃん」
初音が小春を助け起こすと、携帯電話から真理奈の声が聞こえてきた。
『もしもーし? 疲れてるところ悪いんだけど、ちょっと助けてくれなーい?』
「ん」
「どうした?」
通話に参加していた初音と灯が反応する。
『最初のビルからちょっと落ちそうになってるんだけど』
「何があったらそうなるんだあの馬鹿は……ちょっと行ってくる」
灯が鉄線銃型P.A.で屋根に登り、そのまま真理奈のもとへ駆け戻って行った。
「……俺らも行くべ。真理ちゃんに何が起きてるのか見に行こうぜ」
「了解。ついでに小春ちゃんの顔見せもしよう」
「ああはい、よろしくお願いします……」