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鏡界輝譚スパークラー Crystal Brother and Sister Ⅹ

「わたしがアレを倒す」
「バカ言え‼︎」
お前死ぬぞ!と水晶に対し寵也は怒鳴る。
「…あの種のカゲは光線を放つまでに数分のタイムラグがあるって授業で習った」
だからその隙にコアを撃ち抜く!と水晶は拳銃型P.A.を構える。
「でもそのP.A.じゃ威力が!」
「分かってる」
紀奈にそう言われたが、だから至近距離で撃つ!と水晶は続けた。
「…わたしは簡単には死なない」
加賀屋隊のリーダーだもの!と水晶は声を上げた。
「…」
その言葉に加賀屋隊の面々は黙りこくったが、暫くして紀奈が口を開いた。
「…分かった」
あたし、みあきちのこと信じるよ、と紀奈は笑った。
「ボクも信じる!」
弾もそう明るく言う。
「フン、死ぬんじゃねぇぞ」
身内に死なれるのは御免だからな、と寵也はこちらを一瞥もせず言う。
「…失敗しても知らないんだから」
頑張りなさいよ、と巴は呟いた。
「…みんな、ありがとう」
そう言って、水晶は迫り来るカゲに目を向けた。
塔のようなカゲはゆらゆらと歩道橋に近づいていく。
それと共に、頂上部分の光が少しずつ強くなっていった。
あと少し、あと少しで、と水晶は拳銃型P.A.のトリガーに指をかける。
…過去の、澁谷學苑に通っていた頃の自分なら、こんなことはしなかっただろう。
でも幕針文化学院に入学して、わたしは変わった。

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