「というかこの技術、前に『それ』作ってあげた時に説明したよね? 『弾丸以外の形状に光の力を造形する』って」
明晶が指す吉代の左手首には、腕輪型のP.A.があった。これもまた、明晶が自作した改造ギアである。
「それでなんだけど親友」
「んー」
「ちょっとこれの試運転ついでに、ここの周りのカゲ狩ってきてくれない?」
「え、俺格闘の心得とか無いっすよ」
「だいじょぶだいじょぶ。君、何やってもそれなりに上手くいくじゃん」
「……まあ、いつも使ってるP.A.の補助用に使うくらいなら」
「よし来た。使った感じはこっちからも監視カメラで見ておくけど、戻ってきたら使用感の報告とかしてくれると嬉しいな」
「了解」
吉代が部屋を出た直後、明晶はチェストから1台のドローンを引っ張り出し、開け放しになった部屋のドアから吉代の後を追跡させた。
(さて……彼が働いてくれている間に、ワタシもやることやらなくちゃねぇ)
『Photonic Dorper ver.1.5.0』と印字されたアルミ缶の栓を開け、ストローを挿して中身を一口吸ってから手首のデバイスの通話機能を起動した。
「あーもしもし親友?」
『何だ、プロフ?』
「今、君の後に続いてドローンが飛んでいったんだけどね」
『ああ、後ろから近付いてくるこの音はそれか』
「ワタシが操縦してるんだ。ついでにこれも光の力で動かしてるから、P.A.といって差し支えないね」
『戦えるのか?』
「まあ……ローターが直撃すれば痛いんじゃない?」
『あとあんた、光の力めっちゃ低かっただろ』
「そこはドーピングしてるからオッケー」
缶を足蹴にして揺らしながら明晶は答えた。